東京・大阪を含む7つの県で先日「緊急事態宣言」が発令されました。
それを受けて、どの業種に対して休業要請をするのか、国と東京都との間で調整が難航しているのがニュースになっていましたね。
日本はどうなるかまだ分かりませんが、ロックダウン中の海外の国や都市では「生活に必要不可欠かどうか」を基準に休業かそうでないかが決められていることが多いです。
そこで今回は「生活に必要不可欠な事業」「社会機能を維持するために必要な業種」「生活を維持するために必要不可欠な仕事」を英語でどう言うのかを紹介したいと思います。
「生活に必要不可欠な業種」は英語で?
ロックダウンが行われている国や都市では、人々の生活に最低限必要な業種・仕事を除いて在宅勤務や休業が命じられている場合が多いです。
ニュージーランドも現在ロックダウンの最中ですが、政府が指定した「社会機能を維持するために必要なビジネス・サービス」以外の仕事は全て在宅勤務(それができない場合は休業)が義務付けられています。
日本語では、
- 社会機能を維持するために必要な事業
- 日常生活に必要不可欠な業種
- 市民生活の維持に最低限必要な事業
- 生活に必要不可欠な商品やサービスを提供する業種
- 生活インフラやライフラインを支える仕事
など、いろんな言い方がありますが、これらは英語ではとってもシンプルに表されるんです。それが、
essential business(es)
essential service(s)
essential sector(s)
です。”essential” は「不可欠な、必須の」という意味なので「必要不可欠なビジネス、サービス、部門」ということですね。
- My business is not considered an essential business.
私のビジネスは生活に必要なビジネスとは見なされていない - Only essential businesses are allowed to remain open.
生活に不可欠なビジネスのみ営業が許されている - All New Zealanders not in essential services have been asked to stay at home.
生活に必要なサービスで働く人以外の全てのニュージーランド人は家にいるよう要請されている
何が “essential business” で、何が “non-essential business” なのか、その基準は国によって差がありますが、ニュージーランドの場合は、病院・薬局・スーパー・郵便・物流・銀行・ガソリンスタンド・公共交通機関*、さらに電力・ガス・水道の供給やゴミの収集などのライフラインを支える仕事などが “essential business、essential service” と定められています。
*essential businessで働く人のみ利用可、一般人の利用は不可。
逆に、今どうしても必要ではない事業(non-essential business)には、全ての飲食店(テイクアウトもダメ)・肉屋やパン屋などの小規模専門店・物販店・ショッピングモール・娯楽施設・ジム・市場・図書館・博物館・美術館などが含まれています。
ニュージーランドの基準は世界の中でも厳しいらしく、ロックダウン開始当初は家電や衣類・キッチン雑貨を販売する店も全て営業が禁じられていたのですが、その後少し基準が緩和されて「生活に最低限必要なもの」をオンラインに限って販売可能に変わりました(実店舗は営業不可)。
そんな「生活に最低限必要なもの」「生活必需品」も英語で言うと、”essential” を使って、
essential goods
essential products
essential items
essentials
で表現できますよ。
“essential worker” の意味とは?
そして、”essential” を使った表現で知っておきたいのが、
essential worker(s)
です。これは “essential business” や “essential service” で働く人のことで、人々の生活の維持に必要な仕事をしている人を指します。
代表的なところでは、医療従事者・スーパーの店員・薬剤師・郵便配達員・警察官・消防隊員などが “essential workers” に含まれていて、これらの人たちは外に働きに出ていくことが許可されています。逆を言えば、”essential workers” 以外は外に出て働くことはできません。
そんな中、先日ニュージーランドの首相が記者会見で「○○と○○は “essential workers” だよ」と公式発表したことが話題になりました。
イースターバニーと歯の妖精は “essential workers”
その “essential workers” とは「歯の妖精*」と「イースターバニー」です。
*抜けた乳歯を枕の下に置いておくと、夜のうちにやってきて歯を持っていく代わりに、コインを置いていってくれる妖精
何だそれ?と思った方もいると思いますが、子どもたちはこれらが家に来てくれるのをとても楽しみにしているんです。
キリスト教の国ではとても大事なイースターの週末が今日から始まります。イースターのシンボルといえば、カラフルな卵。そして、子どもたちは「イースターバニー」と呼ばれるウサギが運んできて庭などに隠してくれた卵型のチョコレートを探す「エッグハント」を楽しみにしています。
そんな中、NZのジャシンダ・アーダーン首相は、子どもたちから多くの質問を受けたことを明かし、定例の記者会見で子どもたちに向けてこんなふうに話しました↓
You’ll be pleased to know that we do consider both the Tooth Fairy and the Easter Bunny to be essential workers
「歯の妖精」も「イースターバニー」も “essential workers” だよ、と子どもたちに語りかけたんですね。つまり、両者ともロックダウン中であっても外に出て働くことが許されている必要不可欠なお仕事だよ、ということです。きっと多くの子どもがこれを聞いて喜んだと思います。
そして首相はこう続けました↓
but as you can imagine at this time of course they are going to be potentially quite busy at home with their family as well and their own bunnies. And so I say to the children of New Zealand if the Easter Bunny doesn’t make it to your household, then we have to understand that it is a bit difficult at the moment for the Bunny to perhaps get everywhere.”
「今はこんな状況だから、うさぎさんもお家で自分の家族たちのことで忙しいかもしれない。だからもしイースターバニーがあなたの家に来れなかったとしても、今はバニーたちにとってもいろんなところに行くのがちょっと難しいんだって分かってあげてね」と。
さらに、首相からこんな提案が。
“But I have a bit of an idea that maybe in lieu of* the Bunny being able to make it to you home, maybe you could create your own Easter hunt for all the children in your neighbourhood?”
*in lieu of=instead of:〜の代わりに
“So if you are one of those homes that’s had a teddy in your front window, maybe draw an Easter egg and pop it into your front window and help children in your neighbourhood with their own Easter egg hunt – because the Easter Bunny might not get everywhere this year.”
いつものエッグハントの代わりに、今年はイースターエッグの絵を描いて窓に貼って、近所の子どもたちがそのエッグを見つける、というロックダウン中ならではの新しいエッグハントを提案したんですね。
ロックダウン中でも近所の散歩は許可されているので、散歩中の子どもたちが笑顔になれるように、現在ニュージーランドでは「窓辺や門などの見えるところにテディベアを飾る」というテディベアハントが行われています(ロンドンで始まった取り組みみたいです)。
そのテディベアの代わりに、イースターエッグの絵を飾らない?と提案したんですね。そして、首相は自分のSNSにイースターエッグの絵を投稿し、これに色を塗ったりあるいは自分でデザインしたものをメールで送るか#NZEggHuntのハッシュタグをつけてSNSで投稿してくれたら、私のSNSでいくつかシェアするねと、首相宛てのメールアドレスも掲載しました。
首相自身が1歳の子をもつお母さんということもあり、子どもたちの心に寄り添って、ロックダウン中でも子どもたちが安全にイースターを楽しめるような提案で、暗いニュースが多い中、なんだか心がほっこりしました。
そして、話は少し戻って、日本ではどんな休業要請になるのか分かりませんが、自分の命の危険がある中で市民のために働いてくれている世界中の “essential workers” の方たちに敬意を表したいと思います。
その方たちの負担にならないためにも、”Stay home” と “social distancing” をしっかり守りたいですね。
●新型コロナにまつわる英語表現はこちら↓↓↓
■「緊急事態宣言」を英語で言うと?
■”lockdown(ロックダウン)” の本当の意味とは?
■”stay home” と “stay at home” の違いは?
■新型コロナウイルス対策で重要な “social distancing” とは?
■新型コロナウイルスの感染予防策として注目される「テレワーク」「在宅勤務」の英語表現はこちらで紹介しています↓
■「買いだめ」を英語で言うと?
■「オーバーシュート(overshoot)」の本当の意味とは?
■「1世帯あたり布マスク2枚を配布する」って英語で言えますか?
■「隔離する」「自主隔離」を英語で言うと?
■「市中感染」を英語で言うと?
■「濃厚接触(者)」「ヒト-ヒト感染」の英語表現はこちら↓
■「パンデミック(pandemic)」と「アウトブレイク(outbreak)」「エピデミック(epidemic)」の違いは?
■「パニックになる」を英語で言うと?